おしゃれは大事よ
第52話 そのうち私も老女になるから


 母が、12月の老人会の旅行は伊勢参りだけど、今回参加しなかったら二度と伊勢参りはできないので、体調ととのえて行こうかと思っていると言いました。近頃ぐぐっと弱くなったので、たしかに最後のチャンスかもと私も思います。できるだけフォローするから具合が悪くなったら迎えに行くから連れていってもらったら、といいましたが涼しくなると着物しか着ない母は、冬用の洋服というのを持っておりません。
 初秋のバス旅行の時、支度をしているのをのぞいたらどこで買ってきたのか黒いナイロンリュックサックに身の回りのものを入れていました。私だって手提げ袋のようなバッグは特に旅行には持ちません。背負うと少々重くても大丈夫。リュックサックは年寄りにも旅行の必需品になってきていると思います。
 仕事で東北新幹線に乗るべく東京駅に行きましたら、年をとった女性のグループ旅行者を何組も見ました。皆さん背中にリュックサックなんです。同年代同士の旅行だと同行者にたよれませんから、自分の荷物は自分で持ち歩かなければなりません。リュックサックが普及してよかったのです。
 で、母がリュックサックで伊勢参りをするとしたら、どう考えても着物では無理です。私の服で貸してあげられるのはないかと考えてみました。母は33キロで私は47キロですから、まずサイズが合いません。それに黒と茶の服が多いので、たとえ小さめであっても母には似合いません。紺系で小さめの服を買おうと思うけど、どこに売っているんでしょう。女性の高齢者の洋服を求めるとしたら、巣鴨の竹下通り(本当は地蔵通りという)なんでしょうか。あの感覚の服じゃない服が欲しいのです。
 あーあ、どなたか年をとった女性をすてきに見せる服屋さん開いてくれないかなぁ。

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