おしゃれは大事よ
49話 惑い続けて……


 突然だけど、40にして惑わずという言葉(論語)がありますが、昔は人の寿命が短かったから、40は今でいえばかなり高齢を指すに違いないと思うのです。
 私ものごころついた頃からあれこれ悩みあれこれ考え迷ってきました。でも若い時はそれはあたりまえのことと思っていますが、35歳ぐらいの頃、何を着ていいかまったくわからなくなった時は、落ちこんでしばらく暗い日々を送りました。立ち直ったのは自分の年齢をしっかり意識したからでした。といって口の悪いのや見知らぬ人からおばさんと呼ばれて平気だったわけではありません。40歳すぎにも深い自信喪失に落ちこんだのでしたが、年齢の認識をあらたにして乗り越えました。
 思い出してみますと40代は迷いっぱなしでした。それというのも40代はまだまだ捨てたものじゃないという気持ちがあったからと思います。
 41歳になる友達は、先日髪をブロンズ色に染めました。電話でそのことを聞いた時、年なのによくやるなあと多少思いましたが、毎日がうれしいというから、そういう気持ちにもはやついていけなくなっている自分にちょびっとがっくり。後日、本人に会ったら、すてきで感じよくてごく自然で、うーん、やっぱり私は50代で彼女は40になりたてなんだと思い直したのでした。
 四捨五入すると60になる50代になると、まだまだ捨てたものじゃないなんて思えなくなるのです(人によるかなあ)。だから、着るものがない、似合う服がない、人に会いたくない、仕事もうまくいかないなんていうような30代40代の時のような落ちこみ方はしなくなっている。でも自分のありように不安だらけ。現代の不惑の年はいくつなんでしょうねぇ。

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