特集 「大橋歩の想像力 Imagination from/into/beyond Words」
第2話 学芸員が紹介する 展覧会のみどころ
9月中旬。東京の大橋の事務所に三重県から学芸員の生田さんが来てくださいました。今日は日帰りだそう。進行していたポスター、DMなど印刷物の確認や展示作品についての打ち合わせをしています。生田さんはヨーロッパ美術がご専門ですが、伊勢型紙など日本の型紙にも詳しい。
  • 10月中旬。今度は大橋が三重県立美術館に出かけました。「実際の展示会場をちゃんと見なくては」。美術館は津市駅から徒歩10分。なだらかな丘の上にある静かな雰囲気の建物です。
  • 美術館の天井はとても高い、そして広い。「原画は小さいものが多いし、ちょっと不安」な大橋。「とにかく来て下さった方に楽しんでいただく展示にしなくちゃ!」
  • 11月。イオグラフィックのスタッフが会場の縮小模型をつくってみました。展示会場は3つの部屋に別れています。中のぐるぐるは何だろう?
  • 3つの部屋のうちひとつは、子ども向けの絵本の挿絵を中心とした展示になる予定です。ひとつひとつの話の世界に入り込めるよう、小さなコーナーに区切る案をお願いしました。
  • 生田さんが持って来てくださる“なが餅”は三重の名物。薄くて細長い焼き餅です。やさしい昔ながらの味で大橋も大好き。これは四日市の「笹井屋」のもの。
  • 今回の大橋の出張みやげはおなじみ“赤福”でした。他にも“平治煎餅”や“千寿の天むす、“蜂蜜まんじゅう”などおいしいものが津にはたくさんありますが、出張は日帰り、忙しい。
  • 12月に入り展示作品もほぼ決まり、大橋のところから展示用の作品が三重に向かって旅立ちます。これは『村上ラヂオ』の額装された銅版画です。しっかり個包して段ボールに詰めて。
  • 銅版画を制作する時に使う大橋の道具もいっしょに展示される予定。三重行きの荷物の中に入りました。
  • 生田さんが美術品専門の運送屋さんと一緒に搬出のためにやってきました。作品の搬出搬入には学芸員が必ず立ち会います。片時たりとも荷物のそばを離れません。無事到着するまで全責任を負います。
  • 積み終わったら三重まで東名高速をひとっ走り。調査研究、出品交渉、原稿執筆、集荷返却、展示作業、教育普及、作品保存…。学芸員の仕事は多岐にわたりますが「最終的には体力勝負です」。
  • 無事作品が届くと、休む間もなく今度は設営がはじまります。展示計画をたてても、実際作品を並べてみての変更は当たり前。照明も重要。ぎりぎりまで調整が続きます。
  • 保管庫では新しい額装の作業が進んでいます。右手前は『ねこのき』ですね。作品を保存するため、温度や湿度が一定に保たれています。
  • 『大橋歩 わたしの時代1962-2009』(2009年 三重県立美術館での展覧会カタログとして製作)より『平凡パンチ』の表紙。
  • 『平凡パンチ大橋歩表紙集』(イオグラフィック)より『平凡パンチ』の表紙。
  • 『大橋歩 わたしの時代1962-2009』(2009年 三重県立美術館での展覧会カタログとして製作)より『生活の絵本』の表紙。
  • 『大橋歩 わたしの時代1962-2009』(2009年 三重県立美術館での展覧会カタログとして製作)より『ピンクハウス』のポスター。
  • 生田さんが気になっていたという『鳩よ!』(マガジンハウス)で1980年代後半~90年代に詩や散文に寄せて描いた挿絵から。画材は鉛筆・色鉛筆。
第1話に引き続き、今回の展覧会で挿絵をご覧いただける予定の本をご紹介します。(上段左から右へ)『村上ラヂオ』(村上春樹著 マガジンハウス2002年)、『らいおんごう がんばれ』(松野正子作 文研出版1978年)、『したきりすずめ』(日本ブリタニカ 1978年)(下段左から右へ)『トマトジュース』(講談社1972年)、『涙はひとりでながすもの』(文化出版局 1986年)、『おしゃれの絵本』(講談社1978年)※変更になる場合もございますが御了承下さい。
 
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