今日のわたし
更年期障害? 閉経? 不安で不快でくやしいこと
第28話(4月24日更新予定)

 更年期障害については、ずいぶん前に10歳年上の女性から体験を聞きました。その人は40代でした。ずーっと眠くてどれだけでも寝られること。陰部に搔痒感があり、それがひどくて困ることなど。それを聞いても、当時の私には更年期障害がいずれ自分に起きることとは思いませんでした。
 やがて私が40代になると、暑い部屋にいるわけじゃないのに、汗をたらたら流している同年代の人を目の当たりにするのです。その人息せき切って走ってきたわけではないし、熱い飲み物を飲んでいた様子もないし、特別厚着をしてもいなかったのに、汗がたらたら止まらないのでした。もちろんハンカチで拭うのですがおっつかない。不思議に思いました。
 50代になって、3つ年下の友達が日に何度も大量発汗の更年期障害に悩まされているというのでした。初めて更年期障害が人ごとじゃないと思ったのです。私の体にもきっと近々起きることと覚悟しました。
 ところが知人や友達のような症状は起きなかったのでした。
 息子が家を出て行きましたから、私は夫と使っていた寝室から息子の部屋に移りました。子供部屋でしたから狭かったのでしたが、息子の使っていたシングルベッドに一人で寝るのは、夫と寝ていたダブルベッドの寝心地よりずーっと快適でした。
 でもそのころ、ゆっくりぐっすり寝たのに、朝ベッドの上で上体を起こすと、頭の中がぐらぐらゆれることがありました。目もまわるのでした。そのまましばらく目をつぶってじっとして、治まるのを待ちました。不安でした。
 食卓の前に座っている時も、体がゆらゆらゆれることがありました。家族に地震じゃない? といいますと、そうじゃないといいます。あまりに度々ゆれるので、家族に確かめるのは遠慮して、ブラインドの開閉のひもを見て、ゆれは私の体内のなんらかの症状と確認するのでした。このことも不安でしたが、すぐ治るので、医者にも行かず、だれにも相談せずでした。やがて気がついたら治っていました。もしかしたら、あれが更年期障害だったのかもしれないと、自己診断をしています。
 私は自分に更年期障害の症状が起きるのは嫌でした。不快で恥ずかしいことと思っていましたから。許さないとも思っていたので、ぐらぐらやゆらゆらを、その症状と結びつけなかったのかもしれません。
 症状は人によって違うそうで、重い人は鬱状態になったり、暴力的になったりすると聞きます。更年期の症状に悩んでいる人はとても多いから、それ専門の診療所もあるんだそうです。友人知人がそういう所に行っている話も聞きます。
 しみじみ女性の体は複雑にできていると思います。それは、初潮が始まった時の不安感、月経時の不快感と精神不安定感。私は妊娠した時、大きい自分のお腹が恐かったのでした。お腹の中で生命が育っているということを、恐ろしいと思いました。そして更年期、月経が始まった時のように、月に一回のものが不定期になり、それはやがて閉経に進行していることとわかるから、焦燥感と恥辱感にさいなまれる。
 月経が終わるということは、女性ではなくなること。だって女性の体の機能のピリオドだもの。つまり役たたずになることでしょ。といっても実際は50歳で子供を産んでも育てあげるのはかなりきついことです。だから女性の機能に終わりがあるのは正しいのです。よくわかっているのに現実になると疎外感を感じてしまうのです。
 そこでつい同じように年をとった男性はどうなのかを知りたくなります。男性は60歳でも、生むにふさわしい年齢の女性が相手なら、可能なんだそうですって。 
 なんだ男性は老人になっても男性なのかとちょっと嫉ましくなりますが、よーく考えるとうらやましくはありません。男性の機能は終わらないとしても、肉体は60歳は60歳、70歳は70歳ですもの。だとすると、むしろ痛ましい。
 50歳を過ぎたころ、友達から電話で、月経が終わりそうだとか、終わったと思っていたらまた始まってしまったとか話があるのでした。その友達たちはまわりにいる同じ年代の女性ともその話をしていたんだと思う。AさんはどうだとかBさんはこうだとか、同じ年代の他の人の状態も話してましたから。みんなは不安なのだと思いました。でも私は自分から女の友達にその手の話題をしむけたことはありませんでした。自分のことは話したくなかったのです。そして私はこのような私自身の体の変化を夫にも話しませんでした。気づかれるのも嫌でした。
 40代50代の体の変化に私は一人でどんなに神経をつかっていたことか、そしてそれは何故だったのか。それは私の内面にひそんでいる、私をある意味ささえていた、ささやかなプライドのような気がいたします。まだ50代なのにという気持ちが強かったのかも知れません。

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