今日のわたし
とうとうシニア料金で映画を観たんだ

 日曜日、久しぶりに映画を観に行きました。去年の秋のことですが、岩波ホールでやっていた『山の郵便配達』を観に行ったのだったけど、超満員で諦めて以来です。
 今回は夫の観たい『ハリー・ポッターと賢者の石』。子供の映画だよ! と反対をしたのでしたが、どうしてもというからつき合いました。
 私は『アメリ』とか『アモーレス・ペロス』とか『うつくしい人生』とか『落穂拾い』とか観たかったのです。夫はアクションものとか空想ものとかが好きです。で、『インディ・ジョーンズ』のような映画だと思っていたらしいのです。
 切符を買う時になって、私たちは共に61歳ですので(2001年某月某日)、シニアの割引切符で入れることを思い出しました。夫にシニアだよと声かけましたら、え? という顔をして、それからうれしそうな顔になり「シニア2枚」といいました。それから「身分証明書いる?」と窓口の女性に聞きましたが「いいえ」といわれたのに、「ぼく60歳に見える?」と聞くのです。その女性、変な年寄りと思ったでしょうね。横で「見えるに決まってるじゃない」と私がいうと「だってさ、ごまかす人がいるかもしれないじゃない」とその女性に聞こえるようにいうのでした。
 このことは後で、シニア料金で映画が観られるのに年をとっていると思われるのが嫌で、大人料金で観る人ならいるかもしれないけど、まだ60歳になっていない人がシニアでは入らないよねえと、友達と話し合ったのでした。
 59歳の時はたいがいの人が、まだ私は50代よとつっぱっているじゃないですか。
1歳なんてぜんぜん変わりないよといおうものなら、いえ違います! 私はまだこちら側です、と胸を張るのです。だからごまかしてシニア料金で映画を観る人はいない。だから窓口の女性たちは年齢の確認などしなくてもいいのです。シニアに関してはね。
 とにかく初めて私たちは老人サービスを受けたのでした。なんかなぜか楽しかった。ちょっとこそばゆくてついイヒヒと笑いそうになりました。私らシニア料金で映画観ちゃうもんねとあちこちに携帯電話をしたくなるほどのうれしく変な気持ちでした。きっと老人の自覚がないからです。まだサービスを必要としていないからです。
 サービスといえば私が住んでいる世田谷は新聞に「せたがや」という区のお知らせが折り込まれて届きます。老人向けというわけではないのですが、お芝居やら美術やらの情報が載っています。見ていると仕事ができなくなっても、楽しく暮らせそうに思う。もちろん健康でさえあればですが。
 さて『ハリー・ポッター』の映画はですねぇ、やっぱりお子さま向けでした! さらりとしていた。余韻がなかった。だから子供向けといったのにー。
「今度は『落穂拾い』を観に行こうね」と夫にいったら、なにそれ? という顔をされちゃった。でもいい映画と評判のをこの年だったら観なくっちゃ。
さーていつにしようかな? なんかサービスってうれしい。

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